イメージすること。それは自分の全写真の底を繋ぐものになる。
写真を撮り始めて以来、変化はいつも付き物だったが、
「イメージをもとに出発する。」
意識せずともこれだけはずっと変わっていないことだった。
それはもちろん現在も継続中で、終わりのない実験のようなものだ。
『風を食べる』は、そんな繰り返しの中で、
まずは自分自身が自分のつくるものを気持ちよい心で観るにはどうしたら良いだろうと、
そこに辿り着くための実験であった。
------赤鹿摩耶
「日常の、なにげない情景が、ふと、ゆらぎよじれたとき、
こうした光景として、人の網膜に映り見えるのかもしれない。
きわめてエキセントリックでスチルな世界、醒めた欲望が
閉じ込められている、危ないイメージの遊戯。」
------森山大道
「本書が載せる〈水中〉の写真は衝撃的だ。
プールの水が、ひとのあいだの壁となり、
〈わたし〉は、液体を掻き分けなければ他者に接近できない。
自分の表情すら、水中ではままならない。
〈世界〉は、流動する物質に包まれているのではないか。
本書の作者は、〈関係〉を液体として描きだした。
だから、風を〈食べる〉のだ。」
------鈴木一誌
>Visual Arts
Visual Arts 2012年刊行 テキスト日本語/英語
サイズ 縦354×横257 厚さ15mm ハードカバー 100ページ