本書『アメリカン・ジオグラフィー』は、マグナム・フォトグラファーのマット・ブラックが、5年間かけてアメリカ46州とプエルトリコを横断した10万マイルのロードトリップの映像記録である。アメリカの貧困層の無力感、偏見、現実主義といった状況を検証している。

このプロジェクトは、マット・ブラックがカリフォルニア州の田舎町セントラルバレーにある自身のホームタウン（『もうひとつのカリフォルニア』と呼ばれる場所で、人口の3分の1が貧困状態にある）を探索したことに端を発します。2015年にその場所から旅に出て、彼は指定された「貧困地域」（アメリカの国勢調査で定義された貧困率が20％を超える場所）を訪れました。その結果、「貧困地域」は決して異常なものではなく、一つの貧困地域から次の貧困地域まで車で2時間とかからない事が分かりました。貧困地域は国中に点在しているが、「チャンスの土地」からは切り離されているのです。

マット・ブラックの魅力的なモノクロ写真は、ウォーカー・エヴァンスやドロシア・ラングといった1930年代から1940年代のFSA写真家まで遡ることができ、添えられた彼自身の旅行記（観察、カフェや市バスで耳にした会話、ダイナーのメニュー、バス時刻表、史実、毎日の報道からの反響の折衷）が、これらの『非アメリカ州』の鮮やかな肖像を豊かに表現しています。

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Thames & Hudson 2021年刊行 テキスト: 英語
サイズ: 縦262mm×横265mm ハードカバー 168ページ
ISBN: 9780500545355