虚空の下に
敬愛する二人の先人の其々の桜を、
一冊の本という空間の中で交配させてみたい、
という衝動で僕は、この本を編集し造本した。
そして、桜の花びらと
冷めたい虚空がはりつめているばかりの
書物が完成した。
何もない空間が、桜の森の満開の下にある
と教えてくれた坂口安吾さん、
何もない空間を、意味なきままに埋め尽くす
半世紀前の桜の花びらと現いま在の桜の花びらを手渡してくれた森山大道さんに、
深く感謝いたします。
― 町口 覚
本書は、1947(昭和22)年に発表された坂口安吾の短編小説『桜の森の満開の下』に、森山大道が撮り下ろした桜の写真作品を加え、新たに編集し造本した“ 書物” である。
>森山大道
>マッチアンドカンパニー
bookshop M 2017年刊行 テキスト: 日本語
サイズ縦240×横165mm ハードカバー188ページ