"mimiZ"のメンバー福島諭のソロ作品が入荷しました。
<本人による解説>
例えば「美しい雪景色」と言われてどのような景色が思い浮かぶか。 その場面に雪は降っているのか、都会か、田舎か、風は、気温は、雲 の切れ間から太陽は覗いているだろうか。
2007年の暮れから-2008年のはじめにかけてグランド・ピアノとリアルタイム・オーディオ処理による録音を数回に分けて行った。個人的に生楽器の持つ豊かな倍音、ささやかな表情の変化に興味が高まった時期でもあったので、ピアノから発する音を素材にリアルタイム/ノンリアルタイムに処理を加えることは楽器本来の特質を再確認する作業だった。ピアノ自体は一番親しんだ楽器でもあったので、演奏自体は他の楽器の時よりも少しは自由がきくという利点もあった。そのためかコンピューターからリアルタイムに返される音にも瞬時に対応しやすく、結果は良好な場合も多かった。演奏は楽譜によるものではないが、主にE-durの調性を用いるなど、簡単な約束事を決めた上での演奏だったのである種の質感は維持された。テイクを重ねるうちにそぎ落ちて整い 洗練に向かう部分もあれば、初期のテイクに宿っている重要な感覚が失われてしまうような停滞もあった。こうしたものは時間経過と身体や精神の本質的な変化に関係する部分かもしれない。録音時の季節は冬で、冬の寒さと静けさとが感覚に与える影響は少なからず大きかった。こうしたことを続ける中で、時折テーマと思えるようなフレーズも生まれることもあった。結局そのテーマをどう使うかは自由な感覚に任せ、楽譜に固定させることはしなかった。その瞬間瞬間をどう判断し どのような響きを構成していくかは、やはりその瞬間にしか答えはなく、テーマの登場は自然に行われたし、無理に主張すれば全体のバランスを悪くした。良い結果は大概良い集中力の中で行われ、冬はそのような集中力をくれることが多かった。
<再入荷しました>
>mimiZ