マット・ブラックは、アメリカン・ジオグラフィとなるプロジェクトを制作するために6年間アメリカを横断する旅の間、訪れた場所でオブジェを収集した。それぞれの場所は、貧困率が20％以上の場所を指す米国国勢調査の定義である「貧困集中地域」に指定されている。時が経つにつれ、彼が見つけ、収集した品々は象徴的な意味を持ち始めた。

プラスチック製のスプーンやフォーク、宝くじ、酒瓶、ライター、マッチブックなどだ。就職願書、医療書類、運転免許証のような重要なものもあれば、家族の写真、ブレスレット、眼鏡、メモ、手紙のような紛失した私物もあった。また、手袋、壊れた工具や消耗品、針金、ボルト、南京錠、曲がった釘など、労働の残骸もあった。

この新しいモノグラフは、ブラックの代表的な写真集『American Geography』の姉妹編として出版され、これらのオブジェの写真、アッサンブラージュ、コラージュ、『American Geography』からの未発表のイメージ、そして「アメリカン・ドリーム」から切り離された人々の声を紹介している。

これらの質素で捨てられた品々は、車道や歩道から組み上げられたアメリカの肖像画を形成しており、所有権剥奪の考古学でもある。ブラックの写真作品と、アメリカにおける不平等に対する彼の冷徹な批評を追う者にとって、本書は不可欠な一冊である。

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Thames & Hudson 2024年刊行 テキスト: 英語
サイズ: 262mm×265mm ハードカバー 172ページ
ISBN: 9780500027752