私には、自らの生を物語として纏め上げたいという欲求があります。
私の両親は1998年の冬に相次いで自死しました。母は鬱病に苦しみ自らの命を絶ち、その9日後に父は
母の後を追って自死したのです。突如として死に近づいた21歳の私は、目の前のありのままを記し、今
しかない感情を写真に残そうとしました。家族みんなで暮らしていた家に1人残された私は、生きてゆ
く意味を見失いそうになりながら、それでも生きていました。両親はいなくても、父が遺した沢山の
絵や、母が好んで撮った家族の記念写真が私に語りかけます。
幸福とは”愛する人と生きる事”
私は両親の愛に包まれながら、幸福の意味を教えてもらいました。新しい家族ができて子を授かり、
自らが親になったとき、私は自分の中で生きている両親と対話していることに気付いて驚きました。
私がわが子に向ける眼差しは、かつて両親が私を包んでいたものと重なります。その時に私は今も両親
と一緒にいて、守られているような幸福な気持になるのです。私は愛する人達と生き続けるために、両
親から貰った愛を世界中の人達と共有したいのです。
2017.7
Biography
1977年大阪生まれ。2003年にビジュアルアーツ専門学校大阪写真学科夜間部卒業。
2013年にNikonサロンで開催した個展「手紙」により第15回三木淳賞を受賞。
2015年「Le Photobook Fest 2015」 ROCK YOUR DUMMY! 入選。
2017年7月に写真集「Picture of My Life」をceiba editionsから出版。
同年LUMIX MEETS/BEYOND2020展#5(9月アムステルダム・10月東京・11月にパリ)に参加。
>上田順平
>Ceiba
Ceiba 2017年刊行
テキスト: 英語 サイズ: 縦250×横175mm ハードカバー 160ページ