2004 年頃から本格的に仙台や石巻、松島へ訪れるよう になりました。友人として、そして仕事のパートナーと して、宮城の素敵な場所に連れて行ってくれ、色んな体 験をさせて貰いました。多くの人と出会い、いろんな事 を学び、気付き、発見の世界の視野を広げてくれました。 そんな愛おしい宮城が2011 年3 月11 日、東北大震災 の被害に遭いました。震災後からしばらく友人とは連絡 が付きませんでした。僕に出来る事はただ、無事を祈りな がら、宮城の写真を見直して、愛おしい光景の写真を文 章と共にブログにアップし、祈り続ける事だけでした。 友人の無事を確認し、ホッとしたものの、震災や津波 による被害の大きさに、胸が張り裂けそうになっていま した。

そんな中、友人の一言がきっかけとなり、これまでに 撮り溜めた宮城の写真を纏め、これまでの心の揺れ動き と共に、文章と併せて、1 つの形にしようと決めました。 この1 年で、1 部限定のZINE（手作り写真集）を数冊 作り、今は亡き恩師・鈴木清先生のやって来ていた私家 版（自費出版）写真集へのこだわりと慈しみが再び湧い てきました。これまで写真展を開催し、いくつかの雑誌に掲載して頂いてきましたが、やはり1 つの世界観として、自分なりに決意表明を固め、世に問うことが重要だと、改めて 気付きました。僕に出来る事は、写真を撮り、纏め、写真と言葉で心を揺さぶり琴線に触れるようなものを紡ぎ上げてゆく事。それだけなのだと、改めて気付きました。同時にそれこそが、表現者が目指すべき所で、その試行錯誤の過程（プロセス）こそが、重要なのだとも気付きました。今、僕にできる範囲を超え、１２０％の能力と全てを賭けて、この私家版（自費出版）写真集に真正面から当たり、すべてをこの1 冊に込めました。ご覧頂けると幸いです。

あらゆるものは儚く消え去ってゆきます。実は日常の中にあるささやかなものにこそ、細部にこそ本質が宿る。人は失って初めて、その日常の大切さに気付きます。今回の震災を通して、自分にとって何が最も大切だったのかを、改めて再認識できました。すべての大切な人々に、この想いが届きますように、祈り（berakah）を込めて紡ぎました。

2011 年7 月6 日　坂倉　恒

※この本の売り上げの半分は、被災地に寄付させて頂きます。
[SOLD OUT]

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私家版 2011年刊行　テキスト日本語
サイズ 縦210×横297 厚さ5mm　ソフトカバー　40ページ
※このアイテムは、メール便での配送が可能です。
※1冊につき1000円が、東日本大震災の被災地に寄付されます。