再び踏んだ彼の地は、雨を含んだ土のにおいがしていた。 ―プロローグより
風景が信仰の対象だった古代を、アイルランドに辿る旅。
自身の記憶も遡りながら、キリスト教以前の、世界の原点に触れる。
大西洋に浮かぶ島々の断崖で、嵐が過ぎ去った海岸線に残された聖跡を渡り歩く。
海鳴りが納まるころ、嵐は去っていった。
僕は自らの心音に安堵し、泥炭の炎に身体を暖めた。
すでに雨は上がり、海は凪ぎはじめている。
過ぎ去った時間の永さは分からない。
覚えていることと言えば、地面に渦巻き模様が幾つも刻まれ残ったことだ。
>津田直
>赤々舎
赤々舎 2010年刊行 テキスト日本語/英語
サイズ 縦188×横366 厚さ18mm ハードカバー96ページ
[SOLD OUT]