エドワード・スタイケンに「カメラを持った詩人」と称されたロバート・フランク（1924-2019）は、戦後パリで創造の自由を求めた多くのアーティストの一人でした。1949年、パリに滞在していたフランクは、彼の作品の中でも特に重要な一冊を制作しました。それは、当時の恋人でアーティストのメアリー・フランク（旧姓ロックスパイザー）のために制作した、希少な個人写真集です。

『メアリーズ・ブック』の中で、フランクは詩的で洞察力に富み、探究心に満ちた眼差しでパリでの日々を記録し、テキストとイメージの融合という初めての試みを行いました。この唯一無二の作品は、フランクにとって重要な書籍制作の試みとなり、成熟していく彼の芸術的ビジョンの証として今もなお生き続け、20世紀で最も影響力のある写真集の一つ『アメリカ人』（1958年）へと繋がっていきました。

本書では、このラブレターを初めて完全版で再現し、著名な学者による洞察に満ちたエッセイを収録しています。フランクの手書きで「これはあなたのためのものです」と記された布装丁の複製本は、手書きのメモや手切りの版画がぎっしりと詰まった、綴じられていないページが重なり合う様子を再現しています。読者は、ロバート・フランクの視覚的なハーモニーを通して、1940年代後半のパリを体感することができます。

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MFA Publications, Museum of Fine Arts, Boston 2025年刊行 テキスト: 英語
サイズ: 318×229mm ハードカバー 136ページ+24ページ
ISBN: 9780878469000