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庵の人々野口健吾 | Kengo Noguchi


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赤々舎

10代の頃より、安宿泊まりや野宿をしながら日本各地を旅していた写真家・野口健吾は、都市や地方の路上での出会いを重ねながら、人々と語り合い、カメラを向けてきた。

都市のすき間、川辺のほとり。誰のものだとも言い難いその風景の片隅に、ブリコラージュのように形作られた小さな 栖 すみか がある。 公共や自由、世間体や常識が換骨奪胎されたそのような場所で、独自の小屋やブルーシート、テントを結んでいる人々は、どう生き、暮らしているのか──。いつしか野口は、彼らの住む場所を繰り返し訪ねるようになり、彼らをホームレスでも、路上生活者でもなく「庵の人々」と呼ぶようになった。

消費社会の生活廃品から拾い集められた調度品。廃材などで組まれた屋根や柱。一見、即興的に見える構築物にも、数年にわたり保たれてきた配置や、その人なりの秩序、最適化の痕跡がある。 経済的な理由でそこにいる人もいれば、自ら選びとるようにその暮らしを続けている人もいる。住まうことの表情が多種多様に見えてくる。 一方で、川の流れが常にかたちを変えるように、その人々の暮らしもまた常にかたちを変え、流転する。 次に訪れたとき、またそこに庵と人々が同じようにあるとは限らない。

本書には、庵の内部は写されていない。外観と居住者の佇まいだけが写されている。 うつろいゆく時の河辺で約10年にわたって写され、築かれた、「住まい」と「存在」が限りなく近づいた肖像写真集。
赤々舎 2025年刊行 テキスト: 日本語/英語
サイズ: 250×260mm 136ページ
ISBN: 9784865411775
  • 5,500円(税込)