『Verdigris / Ambergris』は、人生のはかなさと私たちの死に焦点を当てたポール・グラハムの12年にわたる作品群を完結させる。この2冊組の写真集は、陸（Verdigris）と海（Ambergris）を眺めながら、無限の水平線をスキャンする人々を中心に描かれている。一冊目には桜、二冊目には夕陽の写真が収められている。これらの写真はそれぞれ、グラハムが過去7年間働いてきたニュージャージー州のポスト工業地帯を見下ろす公園と、夕日を眺める長い伝統があるロングアイランド北部の海岸で撮影された。

グラハムは、これらの典型的な自然美の対象、そしてそれを観察する人々を取り上げ、私たちが世界の美をどのように見、経験するかを重層的に考察している。水平線を眺める人々のポートレートは、ゴールデンタイムのような鮮明さで撮影されているが、各巻のインターリーブ画像は、その制作過程を通じて破損している。『Verdigris』の花の画像は、超解像モードに設定されたデジタルカメラで撮影され、複数のマイクロシフト露光を使用している。しかし、そよ風の穏やかな動きに邪魔され、カメラは首尾一貫した表現を組み立てるのに苦労する。一方、アンバーグリスの彩度の高い夕焼けは、近くの画素から近似的な色を得るのではなく、すべての画素で色情報を収集することができるユニークなカメラによるものだ。その限界を超えると、画像は圧倒的な情報強度のアーティファクトで汚れてしまう。

このまばゆいばかりの新シリーズで、グラハムは道具の欠点を受け入れ、生命のはかなさ、その豊かな驚き、そして美と不可分に結びついた劣化と終焉を呼び起こす。

---

Mack 2024年刊行 テキスト: 英語
サイズ: 285mm×221mm ソフトカバー 2冊セット 136ページ サイン入り
ISBN: 9781915743435