本書は、20世紀を代表する写真界の巨匠、アンリ・カルティエ＝ブレッソンの回顧写真集です。 フランス、スペイン、メキシコでの初期作品から、戦後アジア、アメリカ、ロシアを旅した作品、そしてカメラをやめて絵を描くようになった1970年代の作品まで、精緻な白黒写真で収録しています。カルティエ＝ブレッソンは、決定的瞬間を捉える直感に優れていた一方で、フォトジャーナリストとして、歴史的な出来事が人間に与える影響に独自の関心を寄せていました。ナチスからのフランスの解放、ガンジーの死、1949年の中華人民共和国の成立などを撮影した写真では、事象よりも群衆の反応に焦点を当てています。サルトル、ジャコメッティ、フォークナー、カポーティなどのポートレートは象徴的ですが、彼はライン川岸に横たわるレジスタンスの死者、ベルリンの壁のそばで遊ぶ子供たち、北京の宮廷の宦官など、歴史から忘れられた人々にも同様に関心を寄せています。6つのテーマで構成された本書は、見開き2ページで構成されています。巻末の手書きメモには、「世界に意味を与えるためには、ファインダー越しに見えるものに関与していると感じなければならない」と書かれています。彼の作品からは、いかにして決定的瞬間を、極めて謙虚に、そして深い人間性をもってとらえることができたのかが伝わってきます。

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Prestel 2020年刊行 テキスト: 英語
サイズ: 285mm×295mm ハードカバー 344ージ
ISBN: 9783791384832