アメリカ人アーティスト、ロー・アスリッジ(Roe Ethridge)の作品集。北アメリカでの初個展開催に伴い発行。商業写真、コンセプチュアルなアート写真、個人的な写真の距離や境界を、概して皮肉を含んで笑うように壊して来たアスリッジの15年以上に渡る写真作品を収録している。本書は3つのチャプターによって構成され、第2章においては初期の自費出版から最近の作品にまで及ぶ。またそのセクションを挟むように最初と最後の章では、灰色の家族写真や地方の海岸、七面鳥や豚やヤギなどの家畜の写真を用い、彼の特徴とも言える無表情なスタイルで作られたほぼ理解不可能な作品が並ぶ。ありふれた奇妙さや可笑しさを描き出しながら、あえて読者を酔わせるようなイメージ構成で、アスリッジが進化する様を闇雲に辿る。またイメージの制作と鑑賞の差異に現れてくる異常性への味付けとして、それぞれのジャンルの言葉の比喩も破壊している。アスリッジの活動の途中から彼をキュレートして来たケビン・ムーアによる、「Nearest Neighbor」(FotoFocus Biennial 2016での展示にも繋がった作品)の解説も収録。このタイトルは、デジタルイメージのサイズを圧縮する機能の名称の1つである「ニアレストネイバー法」に由来。また、本書のタイトル「Neighbours(隣人、仲間)」は、自分も含め友人や家族の写真を作品によく取り入れるアスリッジの性質を暗に示しており、それは自身の手による編集や作品のテーマにも現れている。感傷的な写真と商業的な写真の間に生じる違いや特徴を嘲笑いながら、我々の生活の中で生まれるものとそれを互いに繋ぐもの、その両方のイメージの層の中に潜む一見ありふれたものをアスリッジは追求する。
った色あせていった物達は幼少期の夏を思い出させ、昔のアメリカの情緒を彷彿とさせるライトモチーフとなる。
>Roe Ethridge
>Mack Books
Mack 2016年刊行 テキスト英語
サイズ 縦290×横205mm ハードカバー 134ページ