32歳の若さで亡くなってしまった、スウェーデン人ファッションフォトグラファー、Robert Nettarp（ロバート・ネッタープ）の代表作をまとめた作品集。ファッションの歴史上、90年代は多くの事柄、基準においてひとつの転換期となった。昨今ファッションと関連のあるクリエイティブな職業はもちろんのことだが、とりわけファッション写真家は、批評的かつ自己反映的な表現を用いた上でファッションと関わり始めた。「Not in Fashion」(2010)でSophie von Olfers（ソフィー・フォン・オルファース）が語るように「雑誌を、文化的な対話のための活発な舞台へ」変えるのである。ファッションのシステム（もしくはファッション産業理論）から予想できるステレオタイプ（既成概念）的なファッションイメージを再現するかわりに、独立して執筆をし、ファッションとアート、または他のクリエイティブな分野との間の境界線を曖昧にさせるような活動をした。アーティストのように、ファッション写真家は自分の主観性を受け入れて利用したり、個人的な関心を表現したり、伝統的にプロフェッショナルでないとされてきた部分をテーマとして扱い始めた。作者の写真は、90年代のより主観的で曖昧なファッション写真への変遷を写し出している。32歳で突然その生涯を終えた時、このスウェーデン人ファッションフォトグラファーの作品は、産業的に多大なる影響を与えたと称えられた。リアリティを変形させ、歪め、壊すためにデジタル技術を用い「完成」という考え方に挑戦した数少ないフォトグラファーの一人。
>Robert Nettarp
>livraison
Livraison Books 2016年刊行 テキスト英語
サイズ縦290×横240mm 208ページ
