これらは、1998年から2008年へと撮影され、銀塩film収斂へ向う、対赤外線を含む4メーカー、6タイプ、4フォーマットに基づいている。タイトルにある「造景」は、フランスの文学と社会学者が東京経験と近代以降に世界各地で肥大する大都市化を眺めた際の命名を模倣して失敬した。この造語が目指すべきモデルがどこにも無い事態は、技術史ばかりか文明の転回期にふさわしい。
かくして、模倣・真似・パントマイムが写真術と作法において明確に生き続ける。
写真史を眺めれば、近代人に備わるべきIndividual personality、OriginalityはてはIdentityまで差異化され続けて現在へ至る時、そのモードの表層化、断片化という作業は、「今」・「此所」の時空間表象にふさわしい。残る問いは、いかに精密に模倣して自己自身とレンズ向うの対象を同時一体化して止揚せしめ、なおもvisionを望見し得るかであろう。見者の厳しい眼差しを頂ければうれしい。
>倉田精二
>SUPER LABO
SUPER LABO 2015年刊行 テキスト英語
サイズ 縦280×横216mm ソフトカバー 32ページ
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