写真集『東北』にて第37回木村伊兵衛写真賞を受賞した写真家・田附勝の写真集。本書は岩手の釜石半世紀以上続けられてきた鹿猟の「おわり。」を記録したもの。やめざるを得なかった人間の業、それでも続く自然の雄大さ、残酷さ、さまざまに交錯する人々の情が詰め込まれている一冊となっています。
2014年4月、彼は「おわり。」とつぶやいて、鉄砲を置いた。
半世紀以上に渡って続いた鹿猟は、もう二度と行なわれることはない。
僕は猟期が来るたびに尋ねた。
「鹿猟しないの、今年も。」
彼は言った。
「もう嫌になった。鹿を殺すの。今までいっぱい
殺してきた。もういい。それに食べられないなら、
殺さない。殺したくない。」
銃砲店からもらったという、何度も折り畳んだ跡
のある一枚の書類を見せてくれた。そこには鹿肉
から放射性物質が検出されたことが書かれていた。
‒̶巻末テキストより抜粋(文/田附勝)
>田附勝
SURER BOOKS 2014年刊行
サイズ 縦300×横300mm ソフトカバー 24ページ サイン入り
※この商品は、メール便での配送が可能です。
<再入荷しました>