メキシコ生まれ,現在は東京を拠点に活動する写真家、森田城士の作品集。倉石信乃による別冊テキスト「パノラマ以後」付き。
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高いところから見ると、歩いていたときには見えなかったカタマリとしての町を感じる。 (略) 均質的な建物が等間隔に並び、無機的な美しい結晶のように見える光景もある。だが、その細部も同様に、人の営みの形跡があらゆる所に垣間見える。(あとがきより)
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森田はおそらく同時代における、パノラマ以後、あるいはパノラマの再定着・再=帰化(re-naturalization)というべき雰囲気を、自ずから呼吸してきたであろう。だから森田はパノラマという形式が不可避に呼び寄せもする、歴史的な「広がりの地政学」を小気味よく半ば「切断」している。(中略)
ニューヨーク、東京、ソウル、台北、メキシコシティー、バルセロナという面白い土地選択の偏倚を綴った『Kosmos』には、写真家の立脚の自由さや無軌道ぶりをよく表す、特有の乾いた眼差しが貫かれている。森田城士が作り上げた帯状の空間には、上空低く踏査する無名で無国籍な「魂=眼」が息づいており、それに誘われて我々の眼もまた、横へ横へと滑走し、彷徨い歩くのである。(倉石信乃-写真批評・明治大学教授)
>蒼穹舎
蒼穹舎 2014年刊行 テキスト日本語/英語
サイズ 縦355×横129mm ソフトカバー 56ページ スリップケース入り
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