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吉田ヤスヤ: 境界のエクリチュール | Yoshida Yasuya: Boundary Ecriture


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Self-publishing

私はどれほど、気持ちを言葉に置き換えられているか。 私はどれほど、この世界を写し込められているか。

ショッピングモールのコーヒーショップ。大きなガラス窓の向こう側で、重力の隙間を探すように枝を広げる樹木を眺めていると、ある瞬間、それは反転して、空の裂け目の黒い傷であるかのように思えてくる。「(この世界に存在するすべての生き物という意味で)私たちはみな、内在する自己というエネルギーと外側にある他者としての重力の境界で形をなしている。また、その様は、すべて相似の関係にある。」そんなことが頭に浮かぶ。境界とは、はじめに存在するのではなく、多方からのせめぎ合いによって生じるもの。たとえば、人間が設けるあらゆる壁も、境界を可視のものとするための仮のものに過ぎない。私たちのこの姿でさえ、壁と同じように仮のものであり、本当の存在の証しは、自己と他者の間の不可視な境界によって定められるものではないか。そう考えるならば、境界の伸縮によってもたらされる生の意義と死の現象も容易に理解可能なものとなり、存在の本質も見えてくるような気がする。私たちは、形あるものとして存在するのではなく、また魂のようなものとしてでもなく、まさに境界として存在するのである。光に満ちた空を背景にして広がる樹木が不意に見せる、その様のように。
Self Publishing 2013年刊行 
サイズ 縦210×横149mm ソフトカバー36ページ
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  • 1,047円(税込)