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shimaf: 411 [CDR]

解説:この楽曲は2011年4月11日に画廊FullMoon(新潟市中央区東堀通4-453)にて演奏された。演奏時には比較的小型のスピーカ2台の他に小型の振動型スピーカ1台、それにFMのラジオ電波を飛ばすトランスミッターを2台使用して複数のラジオを鳴らした。コンピュータの内部には3種類のサウンドファイル、サイン波による4種類のモチーフ、そしてホワイトノイズが用意されており、この全部で8種類の音源を様々にカットアップしては出力先を変更していくようなプログラムを走らせた。当日、この楽曲に名前はついてはいなかった。 コンピュータの内部では同質の音源が出力されていようとも、スピーカの質の違いによって当然表出される音の存在感は異なってくる。聴衆の聴く位置によって楽曲全体の印象も著しく異なる事になっていた。聴く者全員が同質の印象を共有できるという事がいかに幻想に過ぎないかという、ある面では当然のことを改めて確認しておきたいという気持が、あの時点で強く残っていたためこのようなセッティングを選んだのかもしれない。 リハーサル中に比較的強い余震があり落ち着かない気持ちになった。震災時に明確になったのは、立場とおかれた状況によって精神的にも大きな差異が生じた事。もはや同じ立場を前提に対話する事が難しくなったことである。たとえその背後には同様の感情が作用していたとしても、である。 CDRには当日演奏された曲のコンピュータ内部で録音されていた音と、会場のひとつの地点で録音されたものをそれぞれトラック1とトラック2に置いた。コンピュータの内部録音(トラック1)ではスピーカに繋がれる前の音が録音されていることになる。会場録音(トラック2)には一部ノイズや音飛びが含まれる、あの空間で聴かれたひとつの記録として。
-2012年4月11日 福島 諭。
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(Private CD-R)2012
  • 523円(税込)