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山村雅昭: ワシントンハイツの子供たち (The Children Living in Washington Heights1959-1962)


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山村雅昭

ワシントンハイツとは、代々木公園の敷地内にあった陸軍の練兵場を、一九四五年にGHQが接収して建設した、占領軍とその家族のための街の名です。日本へ返還後、同所は一九六四年の東京オリンピックの際に選手村として使用され、その後は一棟のみを遺してすべてが解体され、現在に至っています。 山村雅昭氏は、一九五九年から一九六二年にかけてこのワシントンハイツに通い、米国人の少年少女のポートレイトを撮影しつづけていたのでした。ストロボを巧みに用いて撮影した「植物に」によって第一回の伊奈信男賞を受賞されたことはよく知られていますが、「ワシントンハイツの子供たち」は生前、世間に広く発表されることのないままでした。ただ、一九八七年に亡くなる直前まで、複雑な表情を見せる子供たちのネガを、まるでそれらに取り憑かれたかのように、焼き続けていたそうです。微妙な階調の変更を加えながら、くり返し、くり返し、暗室作業は続けられました――その執着が如何なる理由によるものだったのか、いまやだれにも知ることはできません。 本写真集には、遺された膨大な数のヴィンテージ・プリントのなかから、二百余点の作品を選りすぐって収録しました。二〇歳になったばかりの若年の山村氏の――そして「植物に」「花狩」を経て円熟期を迎えつつありながらも原点への回帰を試みた写真家の、新鮮な視覚的驚愕が、ここに凝縮されています。またワシントンハイツというきわめて政治的な場を知るための史料としても、本書は重要な役割を果たすことになるでしょう。
山羊舎 2012年刊行 日本語
サイズ 縦280×横210 厚さ15mm ソフトカバー 344ページ スリップケース入り
  • 7,700円(税込)