毎号ひとりのクリエーターにじっくりとインタビューを行うベルリン発カルチャー・マガジン「mono.kultur」。30号目となる今号は、コミック作家のクリス・ウェア。
日本以上に「マンガは子供向け」という意識の強いアメリカにおいて、芸術性に富んだ絵作りと内省的な物語で、大人たちをも虜にさせたコミック作家、クリス・ウェア。コミック作家としては初めて、国際的に注目を集めるホイットニー美術館ビエンナーレに参加した他、様々な美術館での展示に参加する等、コミックの域を越えて注目を集めるウェア。代表作である「世界一賢い子供、ジミー・コリガン」シリーズ(PRESSPOP GALLERY)は和訳もされ、日本でも話題を呼んだ。主人公ジミーは、友達もいない、母親に溺愛されている中年男性。いわゆるアメコミの描くアメリカやスーパーヒーロー的な主人公たちとはほど遠い、陰鬱な世界を描く。さまざまなシンボリズムや時間軸を無視した展開など、既存のフォーマットから逸脱したストーリーテリングは、 ニューヨーカー誌をもってグラフィックノベルの「最高傑作」といわしめたほど。
アメリカは成長をすることを忘れてしまったよう、と話すウェア。カフカが小説で、エドワード・ホッパーが絵画で行ったような社会の暗部をあぶり出す作業を、コミックを駆使して行うウェアの作家論とその生活にせまる。後半の作品ページは蛇腹状に広がる作りになっており彼の代表作が連なってゆく。また、カバーを外すと裏にも作品スケッチが描かれているという、なんとも凝った作りの号。
一部日本語訳付き(差し込み 4 ページ)
>Chris Ware
mono kultur 2011年刊行 テキスト英語/一部日本語訳付き(差し込み 4 ページ)
サイズ縦200×横150 厚さ3mm ソフトカバー 24ページ