代々木のblind galleryにて開催されたホンマタカシの同名展覧会のカタログ。
森の中にはきの子がいる
90年代に写真家として活動を開始したホンマタカシは、
まず未成熟な子供や若者たちを被写体に選んだ。
初期の代表作『東京郊外』は彼らが生まれ育った生活環境を
包括的に写真で表現した作品だと言えるだろう。
その後、ホンマは都市をテーマとする写真作品を発表する一方で、山や海などへフィールドを広げ、人間を取り巻く世界をより幅広く、つぶさに撮影してきた。
ホンマタカシの『その森の子供』は、森ときのこを被写体にした作品である。
森は私たちにとってもっとも身近に「自然」を感じられる場所だが、実際には人間の手で長年に渡って養われ、整えられた場所である。
森もまた人間を取り巻く世界の一部として深いかかわりを持ってきたのだ。
ところが今年、森の一部に異変が起きた。
高い放射線量が検出され、野生のきのこを採って食べることが禁じられたのだ。
『その森の子供』はすべてその森で撮影されたという。
人間と深くつながった森。そのなかには人間の手で 作り出された放射性物質に敏感に反応するきの子がいる。
タカザワケンジ(ライター)
※表紙のカラーが2種類あります。
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2011年刊行
サイズ 縦257×横172 ソフトカバー 288ページ
[SOLD OUT]