黒川直樹が散文、デザイン、詩、写真、タイポグラフィによって描き出した長編小説本。虹釜太郎（360°records)製作の音響より「ある夜のエクス」用に抜粋した音源を収録したCDR付きです。

黒川直樹は、僕がこれまで出会った年下の書き手のなかで、もっとも明確な才能である。だが、その「明確」さは必ずしも万人に伝わりやすいものではないかもしれない。なぜなら、彼が言葉によって対峙しようとしているものは、一言で述べるなら謎（エニグマ）であるからだ。ことに、エニグマの解読どころか、それをなきものに／見ないようにし、果ては無意味な存在と切り捨ててしまおうとするバイアスが、あまりにも強くなってしまったかに映る現在、彼のような書き手は、明らかに稀少種であるかに思われる。だが、だからこそ、我々は「謎」の到来を待ち望まなければならない。だからこそ、我々は黒川直樹を迎えなければならない。彼こそは、エニグマのための、変革のための「テン年代」に、もっとも必要な書き手である。（佐々木敦）

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サイズ縦180×横128 厚さ30ｍｍ　ソフトカバー　576ページ