綿谷修は1963年、北海道に生まれる。現在、写真家としてだけでなく、ヒステリックグラマーの写真集のプロデュース、アート・ディレクション等も手掛け、多方面でその才能を発揮している。これまでに、『RIVER BED』、『Renoir』、『遠軽』、『Agenda』、『昼顔』、『Rumor』等、数多くの作品を発表。2006年には、東川賞を受賞する。写真の撮影、現像に関する技術的指導を受けることなく、全て独学で写真の道を追究していった。
チャイルドフッド『CHILDHOOD』は、最初期に撮られた「Amsterdam」から近作「Capability」に至るまでの4部構成で写真が掲載されている。そのほとんどが未発表作である。これは作者によれば、既発表、未発表を問わず、すべての写真を並列に見直した結果にすぎないという。ここには、写真家としてのキャリアを自伝的に語ろうとする意図も同時代論的な問題意識もない。この写真集は、単なる過去の写真の見直しの結果ではなく、その先にある未知の過去との遭遇を希求して止まない。死と同じように、幼年期は私たちの経験の外部にある。しかし、写真を見ていると幼年期の記憶を
持たない意識が溢れ出してくるように感じるときがある。このヴァネラブルな神経の写真家によって、アムステルダムの運河とロバ、オホーツクの海辺の小屋、流氷、ウクライナの少年と猫、異郷と故郷、過去と現在が、微細に響き合ってただ一度だけ集う、この世界観を感じることができるだろう。
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税込 4,000円(ソフトカバー) 限定200部
税込 4,500円(ハードカバー) 限定1000部
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>綿谷修
Hysteric Glamour 2010年刊行
サイズ縦210×横297mm 216ページ