スケートボーダー等のアメリカンユースカルチャーを切り取った刹那的な写真で知られるアーティスト、エド・テンプルトン。「The Seconds Pass」は、走る車の中から見える一瞬の世界にアメリカという国の本質を見た彼が、これまで通過してきたストリート、ハイウェイの記録。時に血液や大動脈に例えられる程、車や車道が人々の生命線になっている国で、テンプルトンは日々車に乗り、広大な大陸のどこかへと向かう。時にカラーペイントが施された白黒写真に映る何気ない風景から、アメリカという国を形作る神髄が見えてくる。そして、信号で止まったすべての交差点には、見知らぬ人々の日常が存在し、それは全人類の縮図のような小宇宙そのもの。窓の外、その宇宙は無限に広がってゆくけれども、信号が青に変わった途端にフェードアウトして、数秒後にはリアウィンドウの遥か向こうへと消えてゆく。
ページをめくる度に違った、しかし既視感を覚えさせる道広がり、この道はもしかしたら、ジャック・ケルアックやロバート・フランクたちが通った同じ道かもしれない、そんな思いを抱かせる。短い歴史のなかでゼロから普遍性というものを作り上げてきたアメリカとその精神性が、車窓ごしに見えてくる。
<再入荷待ち>
>Ed Templeton
Seems Books 2010年刊行 テキスト英語
サイズ 縦197×横280 ハードカバー164ページ