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オランダ × 千葉 撮る、物語る
サラ・ファン・ライ&ダヴィット・ファン・デル・レーウ、清水裕貴


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David Van Der Leeuw Sarah van Rij 清水裕貴 赤々舎

本書は、新進気鋭の若手写真家デュオ、サラ・ファン・ライ&ダヴィット・ファン・デル・レーウによるオランダパート(左開き)と、写真家・小説家である清水裕貴の千葉パート(右開き)から、それぞれ「眺めの反照」と「眺めの継承」をテーマに展開します。

アムステルダムとパリを拠点に活動する新進作家サラ・ファン・ライ&ダヴィット・ファン・デル・レーウは、反射や影を効果的に使用した独自の写真表現により、近年、大きな注目を集めています。 都市を遊歩者のごとく歩き回り、抽象的な構図、反射、影、独特のフレーミングを特徴とする二人のストリートフォトは、「都市におけるあるがままの、ほとんど定義しがたい要素」を捉えており、「人々の曖昧なシルエットであれ、 豊かな色彩や抽象的な形、詩的なリズムであれ、すべて都市そのものの構成要素」として、「場所の本質」 を呼び起こします。

絵を描くように光と影をとらえ、イメージを再構築するあり方は、ロックダウン中の自宅室内で制作されたシリーズ「Still Life(静物)」においても展開されています。日常の情景(眺め)が、反射像や壁に投影された影を通して予期せぬイメージへと変容し、その表象はシュルレアリスムや自画像の系譜も引き継ぐかたちで現れています。

一方で、デジタル時代の申し子とも言える世代として、2000年代初頭に10代を過ごした彼らの作品から呼び起こされる都市の記憶の断片や歴史的な痕跡は、多くの場合、映画的な要素とも深く結びついています。とりわけ米国の映画監督ジョン・カサヴェテスに大きな影響を受けたと二人は語っており、コロナ渦のニューヨークに降り立ち撮影が開始されたシリーズ「Metropolitan Melancholia」では、数多のストーリーの舞台となった都市の記憶の断片と、再生途上の街の気配が反照し、物語性が喚起されます。

写真と小説、ふたつの表現手段を行き来する千葉県出身の清水裕貴は、ある土地の歴史や伝承を入念にリサーチし、歴史をひもときながら、現実と虚構を往還し、時空を超えてたゆたう物語を紡ぎ出すという独自の創作スタイルをもっています。 今作では、今から140年余り前に建設された、国の重要文化財、松戸の戸定邸に残る徳川昭武の古写真を着想源としています。 稀代の記録マニアだった昭武が残した撮影や旅の記録、日誌などの膨大な資料―それらを読みこみ、丹念に写真と紐づけ、昭武の足取りを詳らかにしようとする「学芸員K」に導かれながら、清水は、戸定邸や周辺の田園風景、稲毛の海を辿っていきます。

時代を経て変わりゆく現実の風景(眺め)。徳川昭武の古写真や日誌(松戸市戸定歴史館コレクション)、バルビゾン派の画家、ビゴーの眼差し(千葉県立美術館コレクション)── 時間の漂流物とも言えるそれらの眺め=継承される風景を「語り直す」ように、清水は言葉と写真で綴る時空を超えた物語へと誘います。

サラ・ファン・ライ&ダヴィット・ファン・デル・レーウ × 清水裕貴の、撮ることによって立ち上がるそれぞれの物語──それらが、風景の奥に潜む時間と記憶のあいだで反照されながら、観るわたしたちのなかにもあらたな物語として開かれていくことを願っています
赤々舎 2025年刊行 テキスト: 日本語/英語
サイズ: 257mm×182mm ソフトカバー 224ページ
ISBN: 9784865412161
  • 4,400円(税込)



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