フランス人ビジュアルアーティスト、フローレンス・クスキエリ（Florence Cuschieri）の作品集。宙吊りにされたように止まった風景の中で、作者はどこからか追いやられ、逃げ惑い彷徨っている存在に出会う。アルプスの森の中で、その者たちは自身の軌跡を刻んでいるのだ。

放浪者たちは実体を持ちながらも、周りの静寂の中に溶けていき、そんな旅路を作者はとらえている。フランスアルプスの南部オート＝アルプ県のブリアンソンにほど近い場所に建つ、自主管理スペース「シェ・マルセル（Chez Marcel）」に逃げ込んできた脆く傷つきやすくなってしまった者たちを、山、森、もみの木がそれぞれ優しく包む器となる。作者が写してきた土地は、そこに足を踏み入れる人々が待つ声を反響させながら、伏している状態で漂い留まっているように見える。彼らの足跡は地面に円を刻みんでいる。ツバメが旋回して飛ぶ（LA RONDE DES HIRONDELLES）様子を映し出しているのだ。

本書は、「第10回 アルル国際写真祭ダミーブック賞（LUMA Recontres Dummy Book Award Arles）」を2024年に受賞、アワードの主催者である「アルル国際写真フェスティバル」と「LUMA財団」により本刊行が実現した。版元である「CHOSE COMMUNE」は、本作品を形にするために作者に門戸を開いたシェルター「シェ・マルセル」の活動を支援すべく、本書の収益の一部を寄付する。

フランス語、英語、アラビア語表記。

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Chose Commune 2024刊行 テキスト: フランス語/英語/アラビア語
サイズ: 300mm×235mm ソフトカバー 172ページ
ISBN: 9791096383528