クリスチャン・パターソンのよる、ミシシッピ・デルタの中心にある家族経営の食料品店の衰退と腐敗を描いた記念碑的作品。

パターソンが2003年にこの店に初めて出くわしたとき、店はまだ営業していたが、時が止まったかのようで、棚には賞味期限切れの商品が散乱していた。それはまるで意図しないタイムカプセルのようであり、アンディ・ウォーホルの予言「いつかすべてのデパートは美術館になり、すべての美術館はデパートになる」を不気味なまでに実現していた。その後20年間、パターソンはこの店が徐々に崩壊していく様子を熱心に記録した。2013年、その扉は閉ざされ、中身は店内に残されたままだった。パターソンは、2019年末に店舗が解体されるその日まで、店に通い続けた。

『Gong Co.』は、読者を直感的かつ視覚的な探求へと誘う。パターソンが現場やスタジオで撮影した写真、モノタイプ、だまし絵のようなコラージュ、暗号のような手書きのメモなどを折衷することで、この本はダイナミックで多層的な体験となる。マルセル・デュシャンのレディメイドやディーター・ロートのFlacher Abfall（平らな廃棄物）が思い浮かぶ。本は無限の解釈の機会を与えてくれる。

本というフォーマットは、それ自体が彫刻作品として機能する。パターソンは、年季の入った擦り切れた緑色の布製の表紙を、食料品の袋に似た茶色の紙ジャケットで包んだアーティスト・ブックのオブジェを作り上げた。各ページは、パターソンの細部への細心の注意の証であり、カビやヤケの跡など、まるで南部の湿度の高さによって生じたような要素が、本のページに永遠に埋め込まれている。

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TBW Books 2024年刊行 テキスト: 英語
サイズ: 279×229mm ハードカバー 224ページ
ISBN: 9781942953678