ヴォルフガング・ティルマンスの肖像画と静物画の最近の動向を紹介する本書では、周囲の環境に反応しながらも、同時に自己完結した環境を具現化した新作・近作を幅広く取り揃えています。

ヴォルフガング・ティルマンスほど、現代美術の範囲を形成し、若い世代に影響を与えたアーティストはいないでしょう。1990年代初頭から、彼の作品は、親密さや遊び心と社会批判や既存の価値観やヒエラルキーへの根強い疑問を組み合わせ、写真における新しい種類の主観性を象徴してきました。ジャンル、被写体、技法、展示方法などをシームレスに統合することで、写真というメディアに対する従来のアプローチを拡張し、イメージがますます飽和する世界で写真を制作することの意味を根本的に問い続けています。

2018年に香港のデイヴィッド・ズウィナーで開催されたティルマンスの展覧会を機に発行されたこのカタログは、親密さや友情をテーマとした写真と、世界全体の景色やアングルを並列に並べています。サハラ砂漠の空撮写真は、単色で抽象画に近い外観でありながら、ほぼ無限のディテールを見せています。それぞれの作品は、その美的要素、対象、施設の設定との間の複雑な関係性のシステムに関わっており、一緒に見ることで、鑑賞者も対話の能動的な一部となるのです。2016年に行われたブルックリン・レイル紙の著者アリー・ビスワスへのインタビューは、このカタログのために作家によって編集・拡大されたものです。

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David Zwirner Books 2018年刊行 テキスト: 英語
サイズ: 241×171mm ハードカバー 100ページ
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ISBN: 9781941701942