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Thujord
Ola Rindal


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Ola Rindal Self-publishing

「作品の中で独自の光の描き方を見つけ出すことができる写真家がいる。ノルウェー人のオラ・リンダルもその例外ではなく、商業的な仕事でも彼自身のプロジェクトでもこれが言える。最新写真集『Thujord』では、光とその不在が中心的な役割を果たしている。20年間パリに暮らしてきたリンダルだが、ノルウェー中心部の Gudbrandsdalen にあるリンダル家が300年前から所有している農園を毎年訪れてきた。姉がこの農園を継いだ当時、23歳だったリンダルはスウェーデンに、次にフランスへと移り住んだ。それでもいつも何かが彼を故郷に呼び戻した。彼はこう書いている。『Thujord(トゥヨール)は、2つの草原という意味で、私が育った農園の名前でもあります。いつもクリスマスには家族と共にそこに行きます。長い間住んでいなくてもそこは今でも私の家なのです』彼のカメラは彼が恋しがっていたものを写し出す。姪っ子。古い家。物言わぬ木々。誰もいない道路。寂しげな、生活に欠かせない電線。一日に一時間だけ降り注ぐ明るい日の光とピンク色の空。雪。雪に心底夢中になっている彼の子供たち。雪だるま。犬。草原にいる牛。暗闇。この地球上にノルウェーの冬ほど暗いものはない。リンダルの作品は、もう一人のスカンジナビア人フォトグラファー、ラース・タンビョーク(Lars Tunbjörk)がスウェーデンの新聞社からの依頼を受けて自由に冬を表現したプロジェクト『Vinter』を彷彿とさせる。昔から暗闇を嫌っていたタンビョークは、見たもの全てを写真に撮ることで心が癒されたと語った。恐らく彼にとっては、自分がどこから来たのかを思い出させてくれる故郷にカメラのレンズを固定した『Thujord』がそうだったのだろう。また『Thujord』には、どことなく前作『Paris』(Livraison, 2017)を思わせるところがある。これはリンダルが2001年9月11日に初めてパリを訪れた日から2015年のテロまで14年間に渡って撮りためた写真を収録した写真集だ。パリの通りを歩いていたリンダルは自分の目に映るものと、様々な写真集で描かれてきたロマンティックな街の姿とのギャップに驚いたという。彼が作り始めた視覚的なメモは、年月を経るうちにパリの暗い側面を浮かび上がらせた。これからもリンダルは旅を続けるだろう。ノルウェーへ、妻マドカの故郷の日本へ、そしてまたパリへ。いつもアナログカメラを肩から下げて、私たちが知っていると思っている場所の別の側面を写し続けるのだろう。」ー「Objektiv Press」編集者、ニナ・ストランド
Self-publishing 2020年刊行 テキスト: 英語
サイズ: 325mm×250mm ハードカバー 64ページ
  • 7,700円(税込)