題府基之の作品集。これまで家族をテーマとしたドキュメンタリー写真で注目集めてきた作者だが、本書では、一人の女性がキッチンで玉ネギの皮をむく写真がひたすら続く。実はこの女性は作者の母親らしく、自身のプライベートまでを俯瞰するような独特な視点とユーモア感覚は他に類を見ない。収録されているのは、フィルム1本分全35カット。1枚の写真にその人物を象徴する瞬間がとらえれているのがポートレイト写真だとすれば、『Holy Onion』は、既成のポートレイト写真への問いかけであるのかもしれない。また、服部一成によるブックデザインも秀逸。中のページは1枚の横に長い紙が折りたたまれており、蛇腹式にひたすら横に広げていくことができる。
>題府基之
オシリス 2019年刊行 テキスト: 日本語/ 英語
サイズ: 縦200×横140mm ハードカバー 164ページ