ホンマタカシによるエドワード・ルシェへのオマージュシリーズ第9弾。
今回発表する『Every Building on the Ginza Street』は、ハリウッドの街路「サンセットストリップ」沿いのすべての建物を記録した蛇腹式の写真集『Every Buildingonthe Sunset Strip』(1966年)へのオマージュ。本作とともにたびたび言及される本のひとつとして、1954年に日本で刊行された『銀座界隈』の別冊『アルバム・銀座八丁』が挙げられる。京橋から新橋までを結ぶ中央通り、通称「銀座通り」沿いの両脇を鈴木芳一が撮影した一冊は、テーマやレイアウト、製本までルシェの作品と酷似していた。この本が欧米で知られると「ルシェはこの出版物を見たことがあったのだろうか、真似をしたのだろうか」※という疑問が生じたが、この問いに対してルシェ自身は回答を提示していない。
ホンマは、『アルバム・銀座八丁』の舞台となった「銀座通り」を撮影することで、アーティストブックの金字塔への「返歌」を試みた。ルシェがオマージュしたかもしれない「アルバム・銀座八丁」の撮影地となった銀座通りを舞台にエド・ルシェへのオマージュを制作するという、様々な要素が絡みあったこの作品だが、本作は夜景を撮影した点が明確に異なる。
夜景の中で際立ってライトアップされているのは銀座通りに昔からある建造物ではなく国際的な大企業ばかりが並び、今日の世相が間接的に表れている。
>ホンマタカシ
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limArt 2019年刊行 テキスト: 英語
サイズ: 縦180×横140mm ソフトカバー/蛇腹製本 54ページ
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