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Mies in London
Mies van der Rohe

20世紀のモダニズム建築を代表するドイツ出身の建築家、ミース・ファン・デル・ローエ(Mies van der Rohe)の作品集。イギリス、ロンドン中心部のバンク駅にほど近い場所にブロンズのタワーと広場を建設するプロジェクト『Mansion House Square』。それを手がけたのがミースであった。本作は、今まで公開されたことのなかった貴重な資料を含む、『Mansion House Square』計画の記録が収められている。本書の表紙と裏表紙に印刷されたブロンズのドアハンドルとトラバーチン製の灰皿は、ミースがこのプロジェクトのために時間をかけてデザインしたものである。1962年、芸術や建築に対するパトロンとして知られ、不動産開発者、現在プリツカー賞 (The Pritzker Architecture Prize) の審査委員長を務めるロード・ピーター・パルンボ(Lord Peter Palumbo)が依頼し、ミースにデザインされた傑作は、ただ「デザインされた」だけで終わった。何十年にも渡り議論を重ねた結果、彼のプランは全てお蔵入りとなった。マーガレット・サッチャー政権下のイギリスではモダニズムに反対する意見が主流であり、チャールズ皇太子はそのデザインを酷評、イギリス政府は新たに誕生するその公共施設に懸念を抱いていた。公的調査が行われたのちに本プロジェクトは凍結、論争を巻き起こしたミースの「傑作」はついに全て白紙に戻ってしまった。全160ページに収められている資料の中には丁寧に修復されたものもあり、RIBA(Royal Institute of British Architects/王立英国建築家協会)、CCA(カリフォルニア美術大学/California College of the Arts)、Drawing Matterの協力のもと、多くの機関や個人が所蔵していた記録が世界中から集められた。今までに作られた建築関係の出版物と比較すると他に類を見ない形式で本作は作られており、序論もなければ学術論文も掲載されていない。豊富な図版と各ページに添えられているキャプションで如何にこのアーカイブ資料をコンテンポラリーなものとして捉えられるか試みている。編集は建築家、ライターであり本書を刊行した「REAL foundation」や雑誌『Real Review』を主宰するジャック・セルフ(Jack Self)と、共同作業者としてユリア・ルデンコ(Yulia Rudenko)が担当、ブックデザインはイギリスの出版社「 IN OTHER WORDS」を主宰するデザイン・スタジオ「OK-RM」が手がける。
>Mies van der Rohe
Real 2017年刊行
サイズ 縦300×横225mm ソフトカバー 160ページ
  • 9,680円(税込)