アメリカ人フォトグラファー、デイヴ・ヒース(Dave Heath)の作品集。1950年代の終わり、ニューヨークのワシントン・スクエアは反乱の象徴だった。ジャンキー通りと呼ばれたこの場所を、フランス人の作家シモーヌ・ド・ボーヴォワール(Simone de Beauvoir)は「旅行者、インテリ風情、学生、そしてブルースやフォークシンガーが歌う薄暗いナイトクラブやコーヒーハウスにたむろするビート族にヒッピー、ボヘミアンといったいかがわしい人々の群れが織りなすコスモポリタンな大合唱」と記述している。その頃、若き写真家であった作者は、ワシントン・スクエアにやってくる若者たちのありのままの姿を写し、深い情感を湛えたポートレイトを制作していた。アレン・ギンズバーグ(Allen Ginsberg)、グレゴリー・コルソ(Gregory Corso)、そして本作にも顔を出しているジャック・ケルアック(Jack Kerouac)ら時代の異端者とされたビート・ジェネレーションの詩人たちが夜な夜な新作を披露していた「7 Arts Coffee Gallery」にも足を踏み入れている。社会に衝撃を与えたギンズバーグの代表作『吠える( Howl )』が初めて朗読されたのもこの場所であり、この詩は本書のイントロダクションにも使用されている。作者は2016年、85歳の誕生日に惜しまれつつ亡くなったが、同年末に本書が出版された。
>Dave Heath
>Stanley/Barker
Stanley/Barker 2016刊行 テキスト英語
サイズ 縦275×横275mm ハードカバー 104ページ