ベルギー人コラージュアーティスト、カトリアン・デ・ブラウワー(Katrien De Blauwer)の作品集。
「私はコラージュを自分史として考えることを好みます。自分がニュートラルな仲介人になれる、自伝と非個人性を合わせたような感じになるので。作者であるということを除いて、そういったものを自分の内側にある言葉に溶け込ませて、第三者の視点で自分をさらけ出せる世界なのです。」
本作はフランスとスウェーデンを拠点とする出版社「LIBRARYMAN」の季刊写真集プロジェクト「Seasons Series」の二作目(Summer)として刊行。あるカテゴリーにあてはまるアーティストたちが、一つの同じ条件のもと一冊の本の形で表現するという一貫した企画だが、それぞれの作家が持つ視点によって個々の違いが表出する。かつ、季節ごとに登場する作家のセレクションとコンテンツが各々の作品そのものを際立たせながらも、全作品集を通してサイズやページ数、デザインは統一される。四季を用いる手法は、韓国の映画監督キム・ギドク(Kim Ki-duk)の映像作品「春夏秋冬そして春(英題: Spring, Summer, Fall, Winter… and Spring)」(2013)から着想を得ており、四季を生涯に見立て様々な俳優陣が一人の主人公の一生を演じているこの作品は、湖中の庵に暮らす一人の父的存在が印象的である。この映像作品はとりわけ四季の風景の移り変わりに沿った物語の形式であり、そのことが主人公の成長に影響を与えているが、今回の企画「Seasons Series」は、各作品が季節の違いを感じさせつつも、シンプルかつ深遠なアイデア、その精神性や人間の情熱を軸とする。
>Katrien De Blauwer
>Libraryman
Libraryman 2018年刊行 テキスト英語
サイズ 縦275×横215mm ハードカバー 32ページ