3年ぶりとなる新作写真集「Night Procession」は、創作にインスピレーションを与え続けたイーストロンドンから舞台を移し、ギルの新天地となったスウェーデンの南部で撮影されました。
家族と共にパートナーの故郷に移転して以来3年の歳月をかけて作り上げられたこの作品は、主に自宅からほど近い森の中で制作されています。ギルは森を散策するうちに、「荒涼とした、フラットでオープンな風景の中に、実は多様な生き物が息づいていることに気がついた」と言います。森を歩き、噛み切られた枝や卵の殻、少し齧られたキノコなどを手がかりに、動物や虫の行動や気持ちを想像し、彼らが訪れるだろう場所に、赤外線フラッシュと動きに反応するシャッターを付けたカメラを仕掛けました。
もし、自分が鹿であったらどこで水を飲むだろう、フクロウであればどの辺りの枝にとまるだろうかと想像することは、ギルに肉眼では実際に見たことのない動物や虫を、心の眼で捉えて長方形の写真の中に想定する訓練となりました。最終的なプリントは、撮影した森から採取した植物の顔料を使用しています。このシリーズは、「自然そのものが自ら語ってくれることを、私たちが感じとる必要がある」というメッセージを秘められています。
昨年、ギルはHARIBAN AWARD(便利堂・京都)を受賞し、便利堂コロタイプ工房で「Night Procession」のポートフォリオを制作しました。その作品が、
KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭2018のアソシエイトプログラムとして、清水寺で展示されます。
>Stephen Gill
Nobody Books 2017年刊行 テキスト: 英語
サイズ: 縦270×横216mm ハードカバー 160ページ サイン入り