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Gregory Halpern


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Gregory Halpern Mack

2014年にグッゲンハイム奨励金を受けた経歴をもつアメリカ人フォトグラファー、グレゴリー・ハルパーン(Gregory Halpern)の作品集。初期のアメリカ開拓者はカリフォルニアを黄金の国、豊かな地と呼んだ。現代においては、無計画に広がる街並みや複雑に入り組んだ道路、スラム街といった明らかな揶揄が含まれる一方で、その土地を簡潔に言い表すことは容易ではない。そこには、荘厳美やサイケデリア、自己破壊など全く異なる要素が併存しながらも、ある種の不思議な調和が生み出されている。どの土地においても矛盾や予測不能なことがあふれているが、カリフォルニアではひときわ極端な傾向にある。文化と歴史、美しさと醜さ、贖罪と絶望が並存し、超越的であると同時に無情なほどの脚光に晒されている本書は、ロサンゼルス東部の荒野の風景に始まり、西に進んだ先に臨む太平洋の景色で終わる。西方への旅とはたんに海への渇望をほのめかすだけでなく、アメリカ東部にいた初期の入植者たちが自明の運命と掲げながら全うした太平洋に至るまでの大掛かりな開拓史、言い換えればアメリカ発展の歴史をなぞらえている。本作で写真に収められている土地や人々、生き物たちは作者の被写体となる以前から存在しているが、フィクション、あるいはファンタジーのように一連の写真を構成・編集することによって、いびつなほどに膨れ上がった人口に耐え切れず、崩壊の危機に瀕しながらも淡々と続くカリフォルニアの日々の一場面として映し出されている。
Mack 2016年刊行 テキスト英語
サイズ: 290× 240mm ハードカバー 128ページ
  • 8,250円(税込)