NY在住のヴィジュアル・アートデュオ「Hart+Lëshkina」(ハート+レシュキナ) の初作品集。本作は写真表現を用いて幾層もの欲望、切望、もろさ、希望を探求し、奇怪な比喩を通して歪んだ現実感を生み出しそして壊しながらこれらのテーマに取り組んでいる。氷、雪、花といった自然界のものから爪、髪、歯、体液といった人間の体から生み出されたものそれぞれを使ったスティルライフは生命が刹那的であることを示唆し、ロシア、フランス、イギリス、日本、アメリカで撮影されたポートレイトは、モスクワで入手した所持者不明の衣服(スーツ、ストッキング、タイツ、ブラジャー、手袋など)を用いることで統一感がもたらされており、対象者はそれぞれ衣服を脱ぐ様々な段階が表現され、真っ白な背景に浮き立つ。彼らはみなそれぞれ異なる肉体的、精神的変化の中で静かな孤独にとらわれ、肉体的制限を超越することに対する欲求において繋がっている。本作は観るものが持つ原始的な感情である、自身で感じる死、痛み、喜び、そして親密さへの欲求に語りかけている。装丁を日本人アートディレクター・グラフィックデザイナーの中島英樹が手がけている。版元「TOTAL VISUAL SHOP」は本書出版を機に自身で立ち上げた出版社。
>Hart+Lëshkina
>Total Visual Shop
Total Visual Shop 2016年刊行 テキスト英語
サイズ 縦260×横190mm ハードカバー 96ページ