荒木経惟の写真集。
FAPA刊行物第2弾となる本書は、1975年に撮影・プリントした未発表シリーズ全38点を網羅したものです。
本作は今日まで発表されることなく保管されていました。
一般的に艶かしくきわどい女性のヌードを撮ることで知られますが、
そうした作品制作の傍らで、約40年ほど前の東京の街並みや行き交う人々を淡々と捉えていました。
情景に溶け込むようにして撮影したのでしょうか、被写体の人々の目線はカメラに向いていません。
そのことが、当時の空気感をよりリアリティのあるようすで伝えています。
この時代を生きた荒木氏の視点で切り取られた情景は、
同時代のひとが見れば郷愁の念を駆られることでしょうし、
この時代以降に生まれたひとにとっては、知らない過去を写した本作がかえって新鮮に映るかもしれません。
本書のブックデザインは田中義久によるもの。
本作のオリジナルプリントが収められていた印画紙用ボックスのデザインを、忠実に装丁へと落とし込んでいます。長らく人目に触れなかった作品が40年超の月日を経て、写真集という形を帯びることで日の目を見ることになりました。
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>FAPA
FAPA 2016年刊行
サイズ縦180×横262mm ソフトカバー 80ページ
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