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松江泰治: JP-01 SPK| Taiji Matsue


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松江泰治 赤々舎

「見ることは誉めること」松江泰治の作品がもつもう1つの意味が見えてくる。

本書は、2014年7月19日〜9月28日に坂本龍一氏がゲストディレクターとして参加し開催される「札幌国際芸術祭2014」への出品にあわせ、松江泰治が札幌を撮り下ろした新作を収めた作品集です。 オールオーバーな視点で世界各地の地表を収集し、高度な技術に裏打ちされた独自の精緻な表現で作品を発表してきた松江泰治が「札幌」に迫ります。同芸術祭のテーマでもある札幌の「都市と自然」を、空と地上、双方からとらえた作品群の展開によってみえてくる立体的な構造、そして、夏から冬へと多彩に移りゆく札幌ならではの季節の変化も楽しむことができます。また、松江泰治の作品に隠されたもう一つの意味を繙く糸口となる池澤夏樹さんからの寄稿「札幌の空・世界の空」も本書の魅力となっております。

「こういう視覚的体験をしながらぼくたちは何をやっているのだろう? 話はいきなり古代の日本に飛ぶけれど、『古事記』や『万葉集』の時代には「国見」という儀式ないし行事があった。春、種まきの季節になると人々は日を決めて集って近くの山に向かう。おそらくは食べ物や飲み物を携えて行ったことだろう。高いところから自分たちの田や畑を見下ろして、そのさまを讃える。こんなよい土地を持った自分たちは果報者であると喜び、その年の豊作を祈願する。文化人類学では予祝と呼ぶ。 後にこれは首長の責務になり、それに際して歌が詠まれた。例えばヤマトタケルの辞世の歌として有名な──

(原文)
倭は 国のまほろば
たたなづく 青垣
山隠れる 倭しうるはし

(読み)
やまとは くにのまほろば
やまこもれる やまとしうるはし

(訳)
大和は囲まれた国、山々は青い垣のように居並び、
その山々に守られて大和はうるわしい国。

は実は別の機会に詠まれた国見の歌がストーリーのここに嵌め込まれたのだという。見ることは誉めること、高いところから自分たちの土地を見るのは賛美であり祝福なのだ。そう教えられて初めて、この写真集の隠された意味がわかった。」
――――池澤夏樹「札幌の空・世界の空」(本書所収)より
>松江泰治
>赤々舎
赤々舎 2014年刊行 テキスト日本語/英語
サイズ 縦262×横185mm ハードカバー 136ページ
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  • 3,850円(税込)