茂木綾子: travelling tree | Ayako Mogi

長く待たれながら、これまで写真集をまとめることがなかった茂木綾子。多くの作品の中から時間をかけてセレクトを繰り返し、自身の「写真」と向き合ってきた。本書『travelling tree』には、ヨーロッパで家族をつくり、移動し、ある時期にはサーカスワゴンで暮らした日々の写真を収載した。どこにでもある、しかし二度とは辿らないであろう霧の道や雪の路肩。ありふれた朝のカーテンの隙間の光や、窓越しの樹々。バックミラーに写る娘の顔。身のまわりのスナップ写真のなかに、茂木の言う「抽象的なことが象徴的に現われる瞬間」が鋭く潜む。白い布貼りの表紙も印象的な愛蔵版。

「日常の中で、こんなにも謎に満ちた世界に当たり前な顔をして生きている自分や人や猫やカラスや雑草や木やパンや子供たちも、ただただ無名な存在で、何も特別ではなく、誰もが何も分からないまま、ただひたすらに存在し、やがて消滅していく。その『消えゆくものたちへの視線』を抱きながら、声にならない声に耳を傾け、目に見えない世界をじっと見つめて、「ほら、これだよ」と自慢げに指差してみせている。ただそれだけの写真集です。」(あとがきより)
>赤々舎
赤々舎 2013年刊行 テキスト日本語
サイズ 縦250×横210mm ハードカバー 132ページ
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