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清野賀子: THE SIGN OF LIFE (Yoshiko Seino: The Sign of Life)


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清野賀子

『THE SIGN OF LIFE』に収録された写真は、千葉、茨城、青森、愛媛、高知など、すべて日本国内で撮影されています。にもかかわらず、ここには日本の風景として類型化しているような写真は一点もありません。普段私たちが繰り返し目にする、絵葉書的な日本の風景写真は、残念ながら、決して現代を代弁はせず、21世紀を生きる私たちにフィットする感覚からはほど遠いものです。しかしなぜか、人影もなく、一見何の変哲もない静謐な清野賀子の写真には、私たちが共有できる現代の感覚が記録されています。彼女が本書で提示した60の場所は、それぞれに日本のどこかで見たことのある、けれどもあらためてその魅力について思考されることのなかった場所と言えるでしょう。

……一般に西欧言語のなかでいう意味でのアイデンティティ、つまり自己と歴史と民族と国家のきしみのなかで個としての自分の根拠を発見する、といったアイデンティティのありようとはちがうものが、清野賀子の写真にはある。ほとんど無人の風景を撮った写真に、アイデンティティという言葉を使うのは奇妙にきこえるかもしれないが、ウィリアム・エグルストンの撮ったアメリカ南部の写真についてユードラ・ウェルティが述べたように、これらの風景写真は私たちのポートレイトでもある。……ここにあるアイデンティティのありようの新しさは、これらの写真の、ひたすら胸に迫るような美のなかに含み込まれてあるために目につきにくいかもしれないが、とても革命的なものなのだ。 ――本書収録の今枝麻子「すべての創造の回路をショートさせる」より抜粋
>清野賀子
オシリス 2002年刊行 テキスト日本語
サイズ縦253×横351 ハードカバー 132ページ
  • 7,700円(税込)