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アイラン・カン: 内なる本棚

本書では、韓国出身の現代美術作家アイラン・カンの作品世界を、その作品の特徴でもある美しいインスタレーションの写真群、作家自身による言葉、光る本各々に収録されている言葉、建築家山本想太郎と学芸員土方浦歌(ひじかた・うらか)による文章で紹介するものです。 アイラン・カン(Airan Kang)は、叡智(えいち)のあかりを光る本のオブジェであらわし、我々を観照の空間に誘います。韓国で生まれ育ち、カントなどの西洋思想に慣れ親しんだ作家は、自らのアイデンティティーを模索するかのように、1999年から本を用いた概念的なインスタレーションを発表してきました。作品は実際にある本のサイズと同じ原型を透明樹脂で型抜きし、LEDを使い内側から発光するように作られていますが、光輝く本のオブジェは、個人の文化的蓄積をしめす記号でもあり、脳神経システムの一端子でもあるかのようです。一冊の光る本から始まった作品は、近年では、物体としての本からその存在性を仮想空間に再構築しています。見る人が身体を用いて体験できるプロジェクトとして提示し、デジタル時代における相互作用的な、新しい知のあり方を探っています。
>NOHARA
IZU PHOTO MUSEUM/NOHARA 2010年刊行 テキスト日本語/英語/独語
サイズ縦180×横135mm ハードカバー60ページ
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