La Grande Sortie
Alex Prager

ロサンゼルスを拠点とするアメリカ人アーティスト、アレックス・プレガー(Alex Prager)の作品集。本書は、映像作品「La Grande Sortie」(2015)の制作時に撮影された写真作品を元にニューヨークのギャラリー「Lehmann Maupin」で開催された展覧会に併せて出版。「La Grande Sortie」は、パリ・オペラ座バレエ団からの依頼で制作され、デジタルプラットフォームで公開された映像作品。フランス人エトワール(バレエ団ダンサーの最高位)、エミリー・コゼットが演じるプリマ・バレリーナの物語で、原因不明の挫折からカムバックしたダンサーの、舞台に対する恐怖心とオーディエンスの中でエスカレートする無関心や敵対心を表現している。コゼットの恐怖は一連のダンスに表れており、引退したバレエ団のダンサーや講師陣が演じる粗野なオーディエンスが徐々に客席から舞台に上がり共演する。幻想的に消え去るラストシーンが象徴するように、成功の陰に隠れて多くの人が日々葛藤する普遍的な不安を体現。本作の挿入曲はストラヴィンスキーのバレエ音楽『春の祭典』をもとに、レディオ・ヘッドのクリエイティブディレクター、ナイジェル・ゴッドリッチが編曲。作者は、過去の作品で映画的なシーンを演出し作り出す中で、群衆と個人の間に垣間見える不安や孤独など深い精神的な部分に触れてきたが、本作では舞台上のパフォーマーとオーディエンスの二つの視点と、この両者間に内在する緊張した関係性で精神面の揺らぎを提示する。この「二つの視点の移りかわり」、舞台上の「フィクションとリアリティの二元性」、そしてその両者の間を行き来しながら、作者はさらにこの境界を作り出す舞台とオーディエンスとの間にある目に見えない「第4の壁」を壊す。視覚的な芸術における、作り物(フェイク)とリアルの概念をいかにして人間が受け入れるかを考えさせる作品となっている。
>Alex Prager
Self-publishing 2016年刊行 テキスト英語
サイズ縦298×横238mm ハードカバー 48ページ
  • 6,480円(税込)


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